Melko

天国からの奇跡のMelkoのレビュー・感想・評価

天国からの奇跡(2016年製作の映画)
3.9
”Miracles are goodness.(奇跡とは優しさ)”

ある日突然難病を患うことになった10歳の少女に起きた、奇跡の話。

ドラマ映画なので、スペクタクルというよりは、こじんまりした仕上がり。
その代わり、母親を演じたジェニファーガーナー、アナ役の子役のしっかりした演技が闘病の過酷さを伝えてくれる。

自分の子供がのたうち回るほど苦しみ、そのあまりの痛さと、検査/投薬の辛さに「もう死んでしまいたい」と吐き捨てる様子は、親は見てられないだろうし、そりゃあ信仰心も無くすと思う。おまけに、「娘が難病になったのは、親か娘本人に何かしらの罪があるのでは?」なんて、たいして仲良くもない知り合いから言われた日には、怒り狂うのも当然だろう。

教会から距離を置いていた母クリスティが、娘の病気を通して信じられない奇跡を体験したことで、教会へ戻ってくる結末がそうさせたのか、評価としては賛否分かれてるらしく、批評家の意見としては「宗教臭い」と。
確かに、最初から最後までキリスト教押しだし、あの奇跡の帰結が「神を信じること」では、信仰心の薄い人はしらけてしまうのかもしれない。
でもなんか、本質はそうゆうことじゃないだろうと。

奇跡とは、人が繋ぐ優しさ=隣人愛
それは信仰心とはまた別の話。日々の行い
人に優しく接すること、他者を思いやること
がベースの話だからだ。

私自身は無宗教寄りの(家が)仏教徒で、キリスト教の学校に通ってたから信仰なんてめちゃくちゃだし、母校にあまり思い入れはないのだけど、モットーのひとつである「隣人愛」に関しては、良いこと言うなぁ(何様)と思ってる。

それって別に、信仰を強制したり、何かを制限したりするものではなく、日々の自分の生活での行い、生き方についてのことだから、理解ができる。
この作品で言われる奇跡も、一つの大きな奇跡は、病院の受付、ウェイトレス、空港の窓口…など、様々な人が繋いでくれたちょっとした奇跡の先にある。そしてその奇跡は、優しさ(隣人愛)。うん、納得できる。

意外と淡々と見ていて、最後の最後に涙がこぼれたのは、アナの同室だったヘイリーの父ベンが伝えた想いのシーン。
信仰心の押し付けなのではなく、やはりそれも隣人愛。アナとの出会いが、ヘイリーにとっての奇跡だったのかもしれない。

「普通なんて最高」
明日からの生活、モノの見え方が少し変わるかもしれない話。
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