このレビューはネタバレを含みます
なぜここにきて急に透明人間?
もう10年近く前になるかもしれないが、それでもバーホーベンの透明人間が映像化されているので、そこまで使い回しの利くネタでもないだろうに…。
と思っていたら。
トム・クルーズが珍しく火だるまになった「マミー」の関連作だとか。
もともとはユニバーサルの遺産である、吸血鬼やフランケンシュタインのモンスター、ミイラ男といった古典的ホラーをアベンジャーズ状態にして現代に蘇らせようとした企画だったらしい。
ダークユニバースだって。
もうこの時点で、ちぐはぐなセンスになぜ気づかなかったんだ😆
奇抜ソース焼きそばが売れてるから、うちは抹茶でやってみよう!
みたいな、一見いけそうだけど空振りリスクもデカいとわかりそうなことなんだが。
結局、一発目のマミーが大ゴケしてダークユニバース計画は白紙に戻されて、それぞれのコンテンツは独立したものとする、と言うところで本作「透明人間」もこの形になったらしい。
本作でどのように透明化するか、が気になっていたがステルススーツと言う、今風と言えば今風の、悪く言えば、もはやそこが限界のアイディアだった。
ただこれは上記の計画の名残で、この後出てくるはずだった狼男とか、ハイド氏、トムのミイラパワーマン?らは、ユニバース計画では共通の謎に向き合うヒーロー的なキャラに変化していくはずだた、と想像されているので、今作の透明人間はその中で「ウォッチメン」のロールシャッハのような、影っぽいキャラクターになるように設計されていたんじゃないかと思われる。
しかしながら、この透明人間と言うモンスターは「どのように透明になるか」ではなくて「透明になったら何をするか」が興味を引くポイントで、人間の隠された欲求の代弁者であるからして。
実験の失敗という誕生過程はさっさと通り越して、覗きやおっぱいの方向に一番の時間と労力をかけた大変態師匠バーホーベン監督の「インビジブル」が一番、透明人間をわかっていたのかもしれない。
ちなみに、師匠は「股間のふくらみをつけるか、つけないか」で、ロボコップの造形デザイナーと殺し合いになりかけた方です。