ベルサイユ製麺

3月のライオン 後編のベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

3月のライオン 後編(2017年製作の映画)
3.5
はーぁあ〜。原作離脱した時の感覚がありありと蘇ります。
パウル・クレー風に言えば、重くて暗い。
いやあのその、映画でも漫画でも重くて暗いのが嫌どころか、だからこそ好きなものは沢山あるのです。この作品を許容出来なくなったポイントは一点、突然にイジメを描いた事です。
元々、普遍的な解決策があり得ない非常にデリケートな問題に、なんでこの作品で取り組む必要があったのでしょうね?並々ならぬ覚悟で臨んだには違いないのでしょうし、今作での緩やかな解決には異常な程のリアリティを感じはします。が…、受け手側に同様の覚悟が有ったかというと、ちょっと怪しいかなぁ。寧ろ過去の体験がフラッシュバックしたり、或いは今現在イジメの只中に有り、且つ本当に救いが無いと感じているような方には必ずしもポジティブには作用しない様な気がしました。また、実写となると加害側を演じることになる児童が実在してしまう訳で、彼らの今後について、ちゃんとケア出来るのかなぁ?とか、いろいろ気になってしまう。そもそも、娯楽作品のひとネタとして扱う様な問題かね?
イジメの件以降(原作はここまでしか読んでません)は、主に家族のドラマが描かれます。個々のパートはなかなか良いと思うのですが、尺の問題か、やや心理の描写不足を感じます。将棋という題材との関連性も見出せません。ひょっとすると盤面の動きとシンクロしてたり?…はしませんよねぇ。個人的には川本家から離れて、追い込まれ、暗い魂のまま挑んだ勝負の行方には違和感を感じました。原作ではどうなってるのかしら?
後半は総じて暗く、鑑賞中に救いになったのはM田吟さんの玄人離れした素朴な演技でした。助かりました。ありがたや。
前後編通しての感想ですが、見栄えがとても良く、丁寧な作りで、人間ドラマ部分は味は強いが出汁を取る時間がなかった風、という感じです。とにかく尺が足りていないのだと思います。単に漫画原作の実写化としては極上の部類では。完結したら原作も通して読んでみます。
将棋のルールは結局よく分からなくて、どちらかが「負けました…」と申告する迄ドキドキしていられました。得したなー。
あと、灰色の他に黒猫ちゃんも確認できたのでネコネコメーターは3ネコです!
さあ、あと『結び』があるんだっけ?違う⁇