タカシサトウ

愚行録のタカシサトウのネタバレレビュー・内容・結末

愚行録(2017年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

 出てくる人が、誰もが酷く、その生育歴や育った環境で、地に足が付いていなかったり、犯罪を犯してしまったりする。

 また、人を落とし入れたり、人を手段に使うだけだったりして、確かに“愚行”ばかりだが、観終わって、それ程嫌な気分にはならなかった。

 武志(妻夫木聡)の行為も捕まらない筈はなさそうだが、衝撃的で、投げやりになっているから、そうせざるを得ないかもと。妹の光子(満島ひかり)の育児放棄も、自分がされたようにしか子育ては出来ないとすれば、そうかもしれない。でも、あの事件は、気持ちは分かるけれど、そこまで行くかなと。また、こちらもバレない筈はなかろうと。もうどうでも良くなって、そうしたとすれば、あるかもとも思える。

 子どもが生まれた経緯は何だか切ない。

 田向夫妻(小出恵介・松本若菜)が、一見理想的に見せる所は上手いと思った。でも、これまでの二人の生き方を考えると、家庭の中は理想とは程遠いと思える。そして、こうなってしまえば、却って区切りが付いてしまっている。

 松本若菜が美しく、満島ひかりは汚れ役にあっており、妻夫木聡はこういう役もやれるのかと。

 石川慶監督の「ある男」をまた観たので、こちらを観てみる。長編デビュー作にしては、随分まとまっているように思った(2024.3.9)。