心洗われる映画だ。
なんども涙する。
しんみりしすぎないバランス感覚もとても良い。田中美佐子演じる、リンコの母が大きな役割を果たす。リンコを傷つけたら承知しない!と小学5年生に向かって毒づくシーンはインパクトが大きく、場面展開して、リンコが中学二年生の時の母子のエピソードを見せられたら、もう嗚咽が止まらない。息子を娘として認めブラジャーのプレゼント。優しさと寛容さ、母の大きさを感じた。やたら「ちんこ」という言葉が多用されるが、下品さがないのが不思議。これも絶妙だ。映画の雰囲気づくりに一役かっている。
児童福祉事務所の人がトモのもとを訪れる場面もいい。
本当に助けが必要なのは追い込まれているトモの同級生なのだが、その二人が交互に映しだされるシーンが秀逸だ。リンコの胸に顔をうずめるトモ。お互いがお互いをいたわりなぐさめる、あたたかさ。薬のせいで意識を失い、母親に抱き起こされる男の子の対比が心をうつ。
トモ役の女の子、よかった。
演出が良かったというべきかもしれないが、押入れの中の糸電話のシーンの表情がとても素晴らしい。大切なシーンでの目線の運びがとても印象的だった。
大切なシーンには落ち着いた音楽が寄り添う。オーボエのソロ、バイオリンのソロ、あるはピアノとのアンサンブル。静かで優しい音楽の数々はこの映画の特徴でもある。
生田斗真なかなかいいね。