てつこてつ

エル ELLEのてつこてつのレビュー・感想・評価

エル ELLE(2016年製作の映画)
4.0
とにかく登場人物それぞれのクセが強い!
「ショーガール」「氷の微笑」のポール・ヴァーホーヴェン監督とイザベル・ユペールを掛け合わせると、こんなトンデモ映画(良い意味で)が出来上がるんだね。

グラフィックゲーム企業を経営する女性社長の自宅に押し入りレイプする全身黒タイツの男。その犯人捜しがストーリーの軸になるのかと思いきや、不貞行為やフェティシズムを全面的に押し出したハリウッドではなかなか制作できないであろう流石のフランス映画。

自分がイザベル・ユペール贔屓なのもあるが、少女のようなあどけなさと娼婦のような妖艶さの二面性を持つ本作の主人公を視聴者に嫌悪感与えるなく演じ切る事が出来るのは彼女しかいないと思わせる。

双眼鏡のシーンなんて「ピアニスト」で演じたヒロインを彷彿させるし、離婚した夫の若い女性との不倫を非難しながら、自分自身も浮気をした挙げ句、「私の相手は既婚者で子供もいるから問題ない!」と言い放つのは日本人には理解し難い理屈だが妙に説得力もあったりする。

殺人罪で投獄された夫を尻目に若いツバメと付き合い結婚までする主人公の母親、親友の夫でありながら主人公と不倫行為を繰り返す男、明らかに肌の色が違う子供(=自身の子供ではない)を産んだ妻を責める事すらできない独り立ちが出来ない主人公の息子、愛情を抱きながら性行為では狂暴なサディズムでしか満足を得られない人物など、とにかくクセ強キャラが大集合。

一応イケメン枠で出演の「スクールズ・アウト」のロラン・ラフィット、「死霊館のシスター」シリーズのジョナ・ブロケ(ベルギー人俳優と初めて知った。だから、英語もフランス語も堪能なんだ!)もいい味出してる。

エグ味が自分の肌に合う、とても好きな作品。
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