LalaーMukuーMerry

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツのLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

4.2
これは興味深い作品だった。あのマクドナルドの創業者の兄弟(ディックとマック)と、その事業を乗っ取った「創業者」の裏話。こんなことがあったのか!
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次々とアイデアを出し、効率をとことん追求して全く新しい店を誕生させた兄弟のストーリーはワクワクするような面白さだった。アイスクリームシェーカーのセールスマンだった52才のレイ・クロック(=マイケル・キートン)は、この店に出会って、その素晴らしさに驚嘆し虜に。
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兄弟が作り上げた独創的なハンバーガー店の経営システムを、フランチャイズ化して世界中に店を持つグローバル企業に急成長させた「創業者」。彼の野望とそれを実現するための実行力は敬服に値する。けれど人間的には尊敬できない人物に感じた。
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普通の人が無視できない道徳的、伝統的な縛りを、目的のためにあっさりと破ることができるサイコパス的性格の人がしばしば画期的な大事業をやり遂げる。人類の歴史はこういう人たちによってページが進められていく。半分納得しながらも、半分納得できない複雑な気持ち・・・
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レイ・クロックはフランチャイズ化を創業者兄弟に勧め、強引に認めさせて実行開始。けれど二人は50店以上に増やす気はなく、いろいろな制限を契約に組み込んでレイの勝手にはさせないようにした・・・
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急速な店舗数拡大、順調な売り上げにもかかわらず、契約のせいで資金繰りが難しくなり、創業者兄弟と敵対的になっていったレイ。そんな彼に助け船のアイデアを出したのは経営コンサルタント、ハリー・ソネボーン。やったのは、店の土地(不動産)の扱いを根本的にみなおすこと。各店舗が土地のローンを返済しながら経営していく普通のやり方から、本社が店の土地を全て所有し、フランチャイズ店にリースするやり方に変更。なるほどねぇ、これなら本社は各店舗の売り上げにかかわらず、リース収入だけは必ず入ってくる。マクドナルド本社は世界一の土地所有者らしい。
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だがこの変更は創業者兄弟からマクドナルドを完全に乗っ取ることを意味した。無慈悲な意志決定。示談のシーンがなんとも・・・
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グローバル化と言う言葉を頻繁に聞く。企業経営者にとってグローバル化は必要かもしれないが、少なくとも(私のような)一般人はそんなことを特に望んでいるわけではない。地域で事業拡大を望まずにうまくやっている企業や店があっても、グローバル企業はそっとしておいてくれない。現状維持を望んでいるようでは必ず負けて呑み込まれてしまう。競争は止むことがなく永遠に走り続けなければならない。どこか何かが間違っているような・・・。強欲な資本主義はどこへ行く?