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ウインド・リバーのskm818のレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
3.7
ワイオミング州の先住民居留地で起きた強姦致死事件を扱った映画。
事件自体はそんなに複雑じゃない。性犯罪ものによくある身内や警察官が云々といったようなこともない。世界のどこかで今この瞬間も起きているような陳腐な案件なんだよ。でもそこが先住民居留地だということで捜査官派遣要請に対してFBI捜査官は1人しかこないし、先住民の掟に基づく物事の処理の仕方もある。
やってきた捜査官は最初は一般的な捜査のやり方を通そうとするが、事態の酷さや被害者への同情もあってしだいにそこのやり方に馴染んで行く。先住民vs白人ってことじゃなくて、どんだけ個人や文化に寄り添えるかということだよねえ。
捜査官に協力する地元のハンターは白人だが、妻が土地の人間だということもあって先住民寄り。かと思うとレイプした男たちのようなカスもいる。
そしてこの映画では被害者がレイプされたのは彼女が弱かったからじゃないということが強調される。彼女は強かった。氷点下の雪原を裸足で10キロ逃げる強さがあった。それにひきかえレイプした男の方は彼女の100分の1も保たなかったんだよね。北の過酷な大地では生きるか死ぬか狩るか狩られるかしかない甘くないと言いつつ、人の為すことについては、弱いからやられるのではなくただただやった人間が卑劣なだけということが強調される。生き延びようと裸足で逃げた女の子を讃えるんよな。いい映画だ。
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