浅野忠信はCHARAと離婚して以降スキャンダラスな色男だからすっかり忘れていましたが、実は気持ち悪い変な顔立ちだったことを思い出しました！「淵に立つ」です。
去年見逃していたのですが今年に入ってやっと観れました。
開始早々不気味なオルガンの音。(オルガンの音ってこんなに気味が悪かったかしら･･･)
家の中では冷えきっているけど、外向きでは理想的な幸せ家族を演じているんだろうなぁという古舘寛治と筒井真理子の夫婦とその娘の3人家族。彼らの家に殺人事件の前科者である浅野忠信が突然居候にやってくる。
彼が来てからはその上っ面な幸せ家族像が簡単に崩壊してゆく。
そしてあの事件が起こる。母親は重度の潔癖症になり、娘は･･･。皮肉にも父親だけは以前より快活で強くなった。積極的に浅野忠信を探し続けることで父親としての宿命的な強さが芽生えたのでしょうか。前半は頼りない父親だったのに後半は娘と奥さんを見守る父親だったもの。
そしてまた事件が起こる。ここで完全に母親はトドメをさされた。
最後父親だけが相変わらず必死だったが、あの後あの家族はどうなったんやろうか･･･。もう少し見守りたかったなぁ。
過去も現在も未来も何も多くを俳優の口から語らせないし、映像で観客にも見せない映画でした。転機となった事件のシーンでも観客が「おっ。ヤルか･･？」とこわごわ期待してしまうところですら何も映さず、事後の現場と困った表情の浅野忠信を映すだけ。
その後も何も語られない。でもその何も語られないところが不気味なんですよね。特に浅野忠信。色んなシーンで不気味な浅野忠信を見せてくれました。
白装束だった浅野忠信の色がガラッと急に変わったところは不意を突かれたのもあってか恐ろしいし、優しくオルガンを教えているだけの浅野忠信は不気味。ただ座って朝ごはんを食べているのに、何故かものすごく不気味。極めつけは笑顔がめちゃくちゃ気持ち悪い。ちゃうわ、浅野忠信は登場シーンから奇妙だった。ただ黙って突っ立っているだけで周りをじわじわと変な空気に変えてゆくのだから、こりゃすごい雰囲気の俳優さんなんやなぁとしみじみ感じました。
もちろん幸の薄そうな筒井真理子も気が狂いかけている母親を熱演していたし、あまり主演で見ることがない古舘寛治も父親のギャップを見せてくれて、全体的に俳優さん達の凄みに魅せられました。またこの執拗な不気味さは、サスペンスというよりホラー作品ですね。
