まちゃん

ロスト・バケーションのまちゃんのレビュー・感想・評価

ロスト・バケーション(2016年製作の映画)
4.0
サメを扱った映画を作る時、必ず名作「ジョーズ」という巨大な壁に直面する。「ジョーズ」の亜流の作品にするか、完全にB級に振り切るか。この作品は全く違う形でA級の作品に仕立て上げた。巨大な人喰いサメが周囲を泳ぐ中で一人岩礁に取り残される主人公ナンシー。足に大きな傷を負い、ジリジリと照り付ける太陽に体力は消耗していく。岩礁は満潮になると海に沈んでしまう。作中でも満潮までのタイムリミットが示される。他の多くのサメ映画と違って「ロスト・バケーション」はモンスター映画でもホラー映画でもない。この作品の本質はワンシチュエーションのサスペンスなのだ。全ての設定が絶妙で緊迫感に繋がっていく無駄の無いストーリー展開。登場人物が実質一人なのにも関わらず87分間飽きさせる瞬間が無いのは驚くべき事だ。主人公ナンシーを演じたブレイク・ライブリーの演技力も素晴らしい。サメに襲われた時の恐怖感、置かれた状況に対する絶望感、生き残る為に勇気を振り絞って闘う姿。演技力でストーリーを引っ張っていくのは誰でも出来る事ではない。後半のアクションの連続も大迫力で目が離せなかった。サメ映画を代表する傑作だ。
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