ベルサイユ製麺

ワンダーストラックのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

ワンダーストラック(2017年製作の映画)
3.3
1977年、ミネソタ。
荒野で佇む少年の元に、周囲から砂煙をあげながら迫る物が…。東西南北、四方からトラックの群れが!
一方につき3台ずつのトラック!
四方から迫る3台ずつのトラック!
4×3台のトラック!!
12台のトラック!!!
…ワンダース・トラッ…

この映画を観ました!!ちゃんと観たんだ!
語感が凄くカッコいいし、なんか聞いたことある監督だし、期待度だいぶ高かったのですが、後で気付いた。トッド・ヘインズって『キャロル』の監督かぁ…。更に、脚本のブライアン・セルズニックは『ヒューゴの不思議な発明』の原作者…。
『キャロル』『ヒューゴの…』の共通の感想は、娯楽映画とは思えないクラス感の有る善き物語。細部まで拘り完成された強固な作品世界。
…それ故に、その世界感に浸り損ねたら最後までピンと来ないなんて事も。
はい。ピンと来なかったダヨーーーー。
良い!と思う部分は沢山あって、例えば70年代のニューヨークの雑多な風景には心踊ったし、少年達の友情の芽生えの瞬間にはキュンとしました。博物館の描写はほんとヨダレもんですし、あと冒頭で引用されるオスカー・ワイルドの“おまえのとうちゃんドブでうつ伏せになってたぜ”…?とかだっけ、記憶曖昧ですが、好きなフレーズでした。凄く示唆に富んでいて、映画の歴史を個人の体験と重ね合わせる繊細な脚本も見事なのですが…、わたくしには全く染み込んで来なかった!厚手のスウェットパーカを倍速で洗濯したら中の方が全然濡れてなかった時ぐらいビックリの染みて無さです。
勿論好みの問題が殆どなので、バカがバカだなぁと思っていただければ良いのですが、例えば終盤の、ドラマチックな出来事の顛末を全部文字で説明するくだりとかあんまり感心しないですけどねぇ…。映画なのにねぇ。思えば『ヒューゴの…』の後半もさぁ…モゴモゴ。

…冒頭のワンダースのトラックは、アメリカ版“SASUKE”の設営とかだと思います。ミネソタは土地が余ってるし、べつに少年なんて、そこらじゅうに居ますからねぇ…。