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パーソナル・ショッパーのzhenli13のレビュー・感想・評価

パーソナル・ショッパー(2016年製作の映画)
4.4
公開時からとても気に入っている。先日黒沢清とオリヴィエ・アサイヤスの対談記事を某SNSフォロイーの方のご紹介で知り、DVDで久しぶりに観かえした。オリヴィエ・アサイヤスのいいところ(フェティズム含む)が出ていて、こういうのが観たかったんだよ!と初見のとき小躍りしたくなったのだ。
アサイヤスは『デーモンラヴァー』『クリーン』以後あまり惹かれず、正直本作以後も全然チェックしてない。この作品も日本公開時の売りどころを迷ってる感があったけど、予告観た時点でいいのが来たーとわくわくしたのを覚えてる。このあとデヴィッド・ロウリーの『ア・ゴースト・ストーリー』も公開され、いい幽霊映画が続くなあとも思った。

クリステン・スチュワートのスタイリングがどれも好くて見目麗しい彼女を観てるだけで飽きない(というかアサイヤスの映画はそういうところが多分にある)。カット割が結構細かくたびたび溶暗が挟まれるのはどうかなと思ったけど、これはこれでいいのではとだんだん思えてくる。降霊術としての交信(ヒルマ・アフ・クリントやヴィクトル・ユゴー)と無線通信の類似性を現代に再提示するかのようなスマートフォンの扱い。霊の示す、生きる人の世界で保たれていた倫理や理性を離れた獰猛さとコミュニケーション方法。スマートフォンからヴィクトル・ユゴーの降霊術への回帰。クリステン・スチュワートの視線と台詞に心の中で膝を打つ長回しラスト。

アサイヤス作品はいつも選曲がとても好い。
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