ベルサイユ製麺

東京ウィンドオーケストラのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

東京ウィンドオーケストラ(2016年製作の映画)
3.3
大昔、「友達に誘われた…」と屋久島まで旅行に行った友達がいました。普段、四畳半に住んでいる程のお金無しだったくせに…。頼まれたら断れない人だったのでしょう。…断れない人だから、自分なんかと友達だったのかな?

よし。
…はるばる屋久島までコンサートにやって来たアマチュア楽団。実は役所の手違いで超有名オーケストラと勘違いされて招待されていたのでした。コンサートはどうなる?逃げちゃう?もう演っちゃう⁈
音楽は意外なほど掛からなくて、どうやって誤魔化すのー!を巡るジタバタコメディです。
明確な線引きはできないのですが、映画というより演劇やコントを見ている気分です。台詞が丁寧に割られている感じがコントっぽいのかな?もちろん腐している訳ではありません。
せっかく屋久島ロケも、観光もせず名産品も食べずと殆ど意味が無いのですが、その潔さは寧ろ好感を持てますし、役者さん達に見た事がある方がいないのも新鮮で良いです。繰り広げられるジタバタも、笑うほどでは無いのですがなんだか楽しい気持ちにはなりました。何より短いのが良い!例えば終盤の展開は倫理的にマズイとしか言いようが無いのだけれど、文字通りパパパーっと撤収されてしまう感じで「ま、いっか」ってなります。ちょっと気になってしまったのは、登場人物が全員やや浅薄に描かれ過ぎる事です。あんまりみんな好きになれなかったなぁ。時間の都合ですかね。
なんだか全体的に90年代の小さい規模の邦画みたいな雰囲気です。個人的にはこのくらいのテンションの作品が妙に好きで、でもスコア的には3.3が妥当かなぁ、と。
あ、ジャケが可愛くて良い!いっそ全編この絵でいけば良かったのでは…?