ザックリ言うと「もののけ姫」が実写になったような世界観。
夜、外のテーブルで夕ご飯を囲みながら精霊となった息子と和やかに話すシーンは、こんな家族の団欒の形もあるのかと思った。
ブンミが死へと旅立つ巡礼のような場面では「2001年」ばりの不協和音響が流れ、ラストのネオン瞬く酒場では人懐っこいタイ・ポップスが流れる。
聖と俗、彼岸と此岸が隣り合い、ゆったりした日常に非日常が地続きでつながり意識が変容していく感覚は、どこかアフリカの映画に近いニュアンスもある。
震災直後に電気の消えた街の映画館で観たので、映画の中と外が混じり合うような感覚が忘れられない。