FumiyaIwashina

ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャーのFumiyaIwashinaのレビュー・感想・評価

3.8
J.D.サリンジャーがコロンビア大学に入ってから、ライ麦畑を書き上げた後までをえがいた伝記物。
恥ずかしながら、ライ麦畑をずっと読もうと思いながら読んだことがなく、この映画を先に観てしまったが、本を読んでからの方がより多くのことを感じられたと思う。それくらい、ホールデンのストーリーが作られるまでの苦労や彼に対する思い入れがえがかれていた。
サリンジャーが持っていた元々の信条と戦争や裏切りによって繊細になっていた性質とが混ざりあって本が書かれたと思うと断然読みたくなった。映画の中では過激な描写はなかったが、ノルマンディー上陸作戦に参加していたら、生還しても相当なトラウマになっていたと推察できる。
それでも、様々な困難を乗り越えたあとに、初の長編作品を母に捧げたり、帰国後に喧嘩別れをしていたウィットとも和解したりと出版前からの理解者を変わらずに大切にしているのも感動的。