矢吹

ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープルの矢吹のレビュー・感想・評価

3.8
バカ映画。を求めてハントフォーザ100万ドル
全編ブッシュ。
音楽と撮影のバリエーションと適度な笑いと展開のハネ具合と章立てのテンポがめちゃくちゃいい。
監督、脚本はYTTこと、ワイティティ兄さん。
そんな風には全く呼ばれていないが
近頃はなにかと、主にアメコミ方面で話題のニュージーランド、マオリの戦士である。
何を隠そう、マイティソーラグナロクで完璧にアメリカにマーベルに個性で制圧したとんでもヴィランだ。
湿っぽくもならず、乾きすぎてもいない、絶妙に水の滴るいいラストまで用意できる彼に、大衆的な映画を任せたくなるのは納得です。
おばさん、ラスボスババア、謎少女、セルフィー兄さん、ブッシュマン、警察官。
少ない出番で際立たせる脇役の個性
性格が浮き彫りになるデフォルメのうまさと
それぞれが生き生きと映る行為とセリフとやりとりの徹底。
さらに、戦争で、モンスターハンターで、ロードムービーで、カーアクションで、ヒューマンドラマで、ディスカバリーチャンネルで、壮大的でワイルダーな最高の旅。
大自然空撮がすごいの何の、せこいのなんの。
であるにもかかわらず、空に近い場所の感動すらも早々に引き上げる潔さはすごい。
テンポを的確に守る術よ。
冒頭の空撮からたどり着いた家の周りの大自然の大きさとカメラに収まる人物の平均的な体の大きさに驚き、
念を押された超絶悪ガキの立ち振る舞いに気を取られているうちに、獣を背負った老狩人の登場にまんまとしてやられる。
この怒涛の滑り出しからラストまであれよあれよと丸め込まれて3カウントである。

もう一つの扉の先には、イエス様?
私もそう思いました。
実はその先にもう一つ扉があります。
その先には、イエス様?
そうです。騙されてはいけません。

リッキーベイカーソング。豚殺。恋が芽生えるかのような場面やわけわからん説法葬式、ウォークマンダンス、ジャイアントスイングカットなどのアクセントが効きまくり、
かなりの問題児といいつつ
どんどんかわいいぽっちゃりおじさん大好きっ子になるあたりも
彼女の死と彼女の人の良さをリズムの範囲内でフルスロットルで描いた功績。

それを叫ぶのはアメリカだ。
しっかりつかまって。しっかり服役もする。
ここはニュージーランドだから。

公開を控えたタイカワイティティ氏じゃなくてYTTの他の作品がどんな風になるのか楽しみで仕方がない。
ちなみに、まったくバカ映画。ではない。
矢吹

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