すずき

オリバー ニューヨーク子猫ものがたりのすずきのレビュー・感想・評価

3.2
現代のニューヨーク。
売れ残りの子猫オリバーは、大雨の日に捨てられる。
色々あって、港のボロ船に住む貧民のフェイミンに飼われる、ドジャーら5匹の犬達と共に暮らす事になった。
オリバーは犬達の盗みの仕事の手伝いをしている最中、富豪の家の少女ジェニーに拾われ、彼女の飼い猫に。
ドジャーがオリバーを連れ戻すが、フェイミンはオリバーが富豪の家の飼い猫となった事を知り、身代金を請求する悪巧みを思いつく…

ディズニー長編アニメーション第27作。
個人的にはそこまで乗れなかったけど、この作品は大ヒットしたそうな。
翌年「リトル・マーメイド」から続々とメガヒットを飛ばしまくる、ディズニー黄金期の始まりとも言える作品。

同じく動物現代劇の「101匹わんちゃん」「おしゃれキャット」のような、ペン画のイラスト的な背景。
また、主に自動車等の人工物にCGが多く使用されており、それまでの手描きアニメでは難しかったカメラワーク演出も多用。
でもCGアニメ黎明期の作品だから、今見ると凄く安っぽい印象のビジュアルになっちゃうのが残念。
キャラデザも何となくTVのカートゥーンアニメっぽい安っぽさを感じた。
あ、でも主人公のオリバーは可愛い。ディズニーの猫キャラではトップクラスの可愛さ。

音楽は良かった。
ミュージカルシーンもポップソングな曲調だったり現代的。
歌唱シーンのあるキャラクターには、声優に歌手が起用されている為、歌はみんな上手い。演技は酷くないので御安心を。

しかし、ストーリーがあんまり乗れないなぁ。
オリバーは貧民フェイミンにも富豪ジェニーにも愛されるが、やっぱりジェニーの家の方に帰りたがる。
そりゃあ金持ちで暮らし良い方に付くのは分かるが、ドジャー達が引き留めるのにも関わらずジェニーの元へ行くのは、どうしても性格悪く感じる。
最終的には、オリバーを利用しようとしたフェイミン、オリバーの為に涙を流したジェニーと2人の飼い主に差が付いて決着する。
だけど、中盤の時点ではどちらも変わらず愛されてて、にも関わらず2人の飼い主を天秤に掛け、後から拾われた富豪の方を選ぶ、というのは問題では。
金持ちという理由以外にも、もう少しジェニーの方が良い飼い主である事の描写が必要。

あとラスボスが結構唐突に児童誘拐に手を出すのが、脚本の都合感ある。
マフィアのボスで金の為には人殺しも厭わないキャラではあるけど、いくら金持ちの子供とはいえその場のノリで誘拐するかなぁ?
綿密な計画が無い犯罪はリスクが大きく、マフィアのボスにしては迂闊過ぎると思います。
そんな彼の最期はディズニーには珍しく、ガチに壮絶。
ディズニーの人間系ヴィランでは初の死者?…と思ったら第1作の「白雪姫」で既に死んでるか。