ベルサイユ製麺

ビリオネア・ボーイズ・クラブのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

3.3
うわ、苦手な“お金持ち自慢話”かよ!…と思ったら、大好物の“若者が愚か話”だった!!しかも実話!いただきまーす☺︎



80年代半ば、アメリカ・ロサンゼルス。(←この書き出しUFO特番感有りますね)
大学で同級生だった中産階級出身の野心塊ディーンと、学力は高いが要領の悪い奨学生ジョー。
ディーンはカーディーラー、ジョーは金融緩和、山田は覆面レスラーになろうとしていました。
ジョーは交友関係の派手な“アーイェ、オーイェ俺ディーン”に誘われてセレブ供がたむろするクラブに出かけます。その頃、山田はスクワットで汗だまりを作ってます。
ジョーはかつての同級生でビバリーヒルズのボンボン達に投資話を持ちかけますが相手にされません。ノーマネーでフィニッシュ…。
失意のまま帰宅したジョーは、鍋敷きにしていたファミ通…では無くて、何かビジネス関係の週刊誌の記事にインスピレーションを受け、独自のビジネス理論を…でっち上げます!
ジョーとディーンの虚仮威しプレゼンはバカなボンボンたちの心を掴み、更には資産家ロンも巻き込んで一気に巨大且つ胡散臭い投資グループを形成。これがBBCの誕生です。その頃山田は、堀辺正史の元を訪れていた…。


ディーンにアンセル・エルゴート。ジョーにタロン・エガートン。資産家ロンにケビン・スペイシー。…そしてライガーは誰なんだ⁈

ザックリとどんなお話か説明しますと、“ハッタリで金を引っ張っていた相手が実は…”っていうお話です。脳みその代わりに利益を食べに来る出資者ゾンビたちが迫る!!!!
…な、なるほどー。確かに“若者が愚か”話なんですけど、それ以前に登場人物全員愚かじゃないすか!特にケヴィン・スペイシー本人!おめーはダメだ。おめーなんかケヴィンじゃ無い。ケビンがお似合いだよヴァカ野郎!!
まあなんせ愚かな人しか出ないので、ぱっと見のルックの端正っぽさに反して、出鱈目で杜撰な事しか起こりませんよ。なので誰かに感情移入なんて論外で、こんなもんリアリティのカケラもないんですよ!喝だ、喝っ!!…あ、これ実話でしたっけ…。
このお話から何かを学ぶとすれば、ストレートに“お金を掴むことの中毒性”って事かと思います。…まあ経験が無いので全くピンと来ませんが、多分お金はヤバイ。想像してみて下さい。スーパーじゃなくてコンビニでカップ麺を買うことを!値段を見ずにアイスを手に取る生活!韓国の変な発泡酒を飲まない生活を!
…なんか悲しくなって来たな。最後に白米食べたのいつだっけ。(アルファ米は昨日避難所で食べた)

さておき!!
この作品、その(多分)痺れるようなお金の空虚なヤバさが充分に描ききれていないように思えました。それに狂ってしまう人々の愚かさも…。個人的には例えばハーモニー・コリンとかダン・ギルロイが撮るか、脚本をアーロン・ソーキンが手掛けるかすれば良い案配だった様な気がしますね。あとディーンとジョーの関係性もちょっと描きこみ不足かなぁ。なんつうんですか?薔薇味が足りないっていうの?「史実だから!」と言われると黙るしかないんですけどね…。

全体的にピリっとしない作品では有るですが、ケビン・スペイシーの最終作としてはちょうど良いと思います。『ユージュアル・サスペクツ』?知らないなぁ。お前の代表作は『ビリオネアボーイズクラブ 』に決定。