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石炭、金のmingoのレビュー・感想・評価

石炭、金(2009年製作の映画)
4.1
だいたいの人が小田香「鉱 ARAGANE」を想像して望むだろうが画面を支配するのは物質ではなく人。基本喧嘩腰の石炭行商同士の難航する価格交渉を面白いという観点で観てて申し訳ない気さえするが、その負の側面を物語の後半の大部分として割くことに重要性を見出したワンビンの意図は劣悪な中国社会から世界を眺める一貫性によるものか。膨大な記録映像から不条理でかつ静かな怒りも感じる。




金子遊×土屋昌明×鈴木一詩トークメモ

土屋さんワンビンを追っかけてきた。世界的にも死霊魂が観れるのは珍しい。20本弱くらい撮っている。映像の研究本は今のところ一冊しかでていなく今度日本から始めて出る。ワンビンはワイズマン観てるか聞いてくれと言われて、ではDVD送るから観てくれと言ったが郵便局で受け取れないとのこと。ちょうど「石炭、金」を撮ってたときなのでこれは無理だなと。社会との関係、歴史との関係。フォンミンは特に後者。暴虐〜の冒頭は鉄西区の工場だとわかる。父親の写真を少年が取り11時の時計の鐘がなり、少年を写すのではなく時計をひたすら写す。奇跡の時間。中国大革命をほのめかす。構成はやはり死霊魂が凄い。1部の応答責任の2部のスタート、葬式のシーンは感動的。キョウヘンコウでは白骨が散らばっているそれはつまり亡くなったあとも掘り起こされ蹂躙されている。死霊魂の字にすべて表されている。文字は白骨、石に彫った拓本に残す、慰霊、裏の歴史、伝統に沿ったデザイン。インターナルとエクスターナルな編集方法がワイズマンと共通している。土の記憶のこだわり。中国では地域別の出生地の大切さ。オーラルヒストリーではなく映像を見て歴史を考える映像歴史学の時代か。歴史に正面から向かってる人はワンビンのみ。インディペンデント界ではアイギョウメイという人もキョウヘンコウのドキュメンタリー8時間の大作を2018年に香港から出ている。
2005年から解像度がどんどん高くなってきている。コンタックスとかライカのレンズを付けてる。もともとカメラ志向。パリなどではワンビンの写真展開催している。対象との結ぶ軸を大切にしている、少しずつ物語と合わせてズレを表現している。コウキツギは無言歌では主役だが他の映画ではチラッと出てくる、これはスタイルになっていくのか。鉄西区ではなんであんなに機関車がでてくるのか、あれが空白なのではないかという中国では山水画のような描き方に至ったのか研究を深めたい。
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