ベルサイユ製麺

ガン シャイのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

ガン シャイ(2017年製作の映画)
3.0
伝説的メタルバンド“メタル・アサシン”を脱退した、今はすっかり過去の人であるターク。そのパートナーにして“タークにとってのオノ・ヨーコ”ことシーラ。
2人がバカンスで訪れたチリで、シーラは地元テロリストに誘拐されてしまった!身代金は100万ドル!どうする、ターク?金なら有るけど、生活能力皆無のタークは、1人じゃ何にも出来ないの…。

…久しぶりに脳内が完全なる無風状態になりました。脳内にトランプタワーがそそり立ちましたし、白い粉末のパケ詰め作業も捗ったのであります。
アントニオ・バンデラス主演のコメディです。監督は『エクスペンダブルズ2』の方。
…もう、えらいこってすよ。“元スターで今は落ち目”という設定の人物にどんな俳優をキャスティングするのかって、まあまあセンシティブ案件に思えるのだけど、…ホントにバンデラスで良いのか⁇リアリティが出過ぎないかい?
正直、なんとなく申し訳なくて笑っちゃいけないような気がする…という方もいらっしゃると思いますが、心配ご無用!今作そもそも全然笑えませんよぉ‼︎
タークのキャラクター、ヨタヨタしててロックスターにしては威厳が無くて人畜無害な感じは、恐らく現在のオジー・オズボーン辺りをモチーフにしているのだと思います。このキャラ付けが凄く中途半端。ちょっと女好き。ビールがまあまあ好き。気の小さい、中年男性。魅力皆無!ロックスターというより蛭子さんとかに近いかな…。
何しろ主人公が太川陽介の居ない蛭子さんなものだから、舞台の方が仕掛けを用意してお迎えしないと何も起こらない訳ですが、この仕掛けが下手くそでしてねぇ…。監督は『エクスペンダブルズ2』撮るような人ですし、細やかなセットアップは出来ない。結果「スーツケースで階段滑れ!」とか「手榴弾で粉々だー!」とか、お笑いウルトラクイズ的ノリばっかり。なんとなく、「テレビ業界には実はサブカル系の人は全然居なくて、ヤンキーノリの人しかしない」みたいな話を思い出しましたよ。体育会系の人の話で面白いのは酷い怪我の話だけ‼︎
では、この作品が見るに耐えないようなものなのかというと、それは“別に”です。強い毒気も無く、まさに無害。例えば、除湿機に水が溜まる様子や、録画したテレビ番組の天気予報と同じ種類の、止めるのを忘れてうっかり見てしまう系”の決定打とは言えそう。褒めているかというと、やはり“別に”です。
ところでバンデラスをじっーと見てると頭の奥から『ブレードランナー』のテーマが鳴り出すのですが、名前のせいなのかしら?
四つん這いで背中がトゲだらけなような気がするのも、やはり⁇