yukihiro084

ワンダー 君は太陽のyukihiro084のレビュー・感想・評価

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)
4.8
『お父さん、僕って友達何人いるの?』
と息子が聞いてくる?
知らないよ、と笑いながら答えると、
『友達って何?』って聞いてくる。
難しい質問。
『たくさんいればいいって訳でもないし
別に毎日遊ばなくたっていいんだ。
もし怪我をしたり病気になったりしたら
心配だな、嫌だなって、思うのが友達。
もし困っていたり寂しがったりしてたら
すぐに会いに行ってあげたいのが友達。
今、頭に誰の顔が浮かんだ?
それが友達だよ。』と僕は言う。

よく出来た短編集を読んだような感覚。
辻村深月の最近の作品をふと思い出す。
変わる語り手。人生に脇役なんていない。
(真の贅沢とは、ただ一つしかない。
それは人間関係という贅沢だ。)

みんなみんな良かった。
本当にみんなみんな愛おしかった。
本当に電話ちょうだいねとミランダ。
寂しそうな後ろ姿のジャック。
祖母との思い出の場所に佇むヴィア。
みんなみんな、胸がいっぱいになる。
舞台を前のめりに見守る母親の表情。
オーウェン・ウィルソンの父親も素敵だ。
そしてもちろん、オギーも良かった。
この作品の素晴らしいポイントは、
オギー以外の全てのキャラクターに
光の当て、優しい眼差しを忘れないこと。

母は今も『お前は手がかからなかった。』と
僕に言う。特別支援学校に進んだ妹と、
すぐに家族に当たり散らしていたワガママな
兄に、母は手一杯で、僕は子供の頃から
(手のかからない子)だった。
転校の多かった僕の、
ひとりぼっちの日々も知らないだろうし、
転校先での嫌な思いも母は知らない。

転校してから数日後、
ぽつりぽつりと友達は出来る。
僕は思う。もし彼らが
困っていたり、寂しい思いをしていたら、
すぐ駆けつけてあげようって。
心をチクチクさせながら、
そんな日々を思い出した。
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