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銀魂ののらのレビュー・感想・評価

銀魂(2017年製作の映画)
3.0
週刊少年ジャンプで連載された人気コメディ漫画を勇者ヨシヒコシリーズの福田雄一による実写映画。話としては紅桜篇を扱っている。

この銀魂という漫画自体がすこし特殊な設定の漫画で、宇宙人に侵略された幕末を舞台に、維新志士や幕府側の勢力に良くにた名前の登場人物が大暴れするという設定からしてデタラメだ。さらに内容的にも普段はこち亀的な時事ネタありの日常系のギャグなのだが、時折始まる長編ものになると突如ジャンプ伝統のバトル漫画に変貌する。

このように舞台設定が割とゆるいため、宇宙人や宇宙船などのSF要素が原作の時点でわりとチープな見た目なため、福田雄一との相性も非常に良く機能している。

ただ映画自体の問題ではないのだが、キャラクターとアニメ版の声優が固定化されてしまっているため、特に序盤は違和感しか無く話に入りづらくなっている。かと言って原作やアニメ版を知らないで、見て楽しめるのか?と言われると、この作品独特のテンションの高さのため好き嫌いが分かれるだろう。

しかし役者陣はかなりいい演技をしていて、ただのコスプレ大会になっていない点は評価できる。特に橋本環奈の演技には目を見張るものがあるし、主人公の銀時を演じた小栗旬もはじめは違和感があるものの銀時に低体温な感じを上手く出していて良い。

漫画の実写化としてはかなり出来が良いし、原作のコメディ要素をよく引き出せている一方で、終盤の船の上でのシリアスなバトルシーンが、セットや合成のチープさで台無しになっているのはいただけない。ギャグとシリアスのギャップがひとつの売りである事を考えると監督の福田雄一の得意分野と不得意な分野が両方出てしまった印象をうける。特に本作が扱っている紅桜篇は何度か映像化されているため見比べる事が出来てしまい不利な側面はあるが、前半のギャグパートに比べると、後半のシリアスパートがパワーダウンしてしまうのは残念でならない。
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