シネマスナイパーF

シュガー・ラッシュ:オンラインのシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

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年の瀬にすげーのきた
お祭り映画として楽しみに行ったけど、お祭り要素とメッセージが素晴らしい絡み方をしていた
全編通じて、可笑しくも泣ける部分だらけで、その全てが深く刺さる


インターネットに出たことで登場した要素
「あなたと会いたい人妻がいます」というポップアップ、元恋人について検索する人、母親の過去の情報すら手に入る闇市
明らかに、大人たちによる笑える悪意が満載
しかし、悪意でありながら、円満な夫婦の姿、友達に執着してしまうことの危うさ弱さ、そして過剰な情報量が時に作ってしまう心の傷をドラマとして描いているからこそ、そういった悪意ある要素も笑いだけではない強烈な印象を残している
不特定多数にチヤホヤされる中に存在する心ない言葉、距離感を感じさせない世の中だからこそ事故的に見てしまうもの…バネロペちゃんのためならなんでもするラルフが様々な仕打ちを受けるからこそ、人間味溢れる執拗さを可視化したクライマックスと、その折り合いにボロボロ泣かされてしまう
自身のワナビーを叶え、バネロペちゃんのおかげで居場所と生き方を得たラルフが、今度はバネロペちゃんの選択を受け入れるために大人になる話なのだから

前作で、自身の正体、アイデンティティを再確認したバネロペちゃんが、持ち前の好奇心で新しい世界で生きる願望を発揮する過程で、本来の自分の「血が騒ぐ」
この展開が鳥肌もので、大集合したプリンセスたちから自分を見つめ直すために勧められた「水を見つめて歌い出す」という行為は、水場という不安定な場所から始まり、盛り上がるに連れ自身を解放し広がっていく分かりやすいミュージカルシーンとなっている
モノホンのプリンセスたちを登場させることで、所謂正しいコメディになっているシーンでありながら、インターネット社会に飛び出す現代っ子への継承として、やりたいことに挑戦する今日の女の子への継承として、単なるパロディを超えている
プリンセス大集合に代表されるように、まさに夢のような世界が広がっている作品ですが、ストームトルーパーに追われた時の音楽など小ネタも抜かりなく、あいつだけピクサーだから話通じないみたいなギャグも笑える
プリンセスたちが各々の能力を発揮する胸熱展開もあるよ


また、インターネットでの動きを可視化したら、擬人化したらどうなるか、という発想は、前作のゲーム内での描写以上に面白い
検索エンジンが先走るのとか上手いよね本当に
ただ、1ミリも理解できない話があるのも事実で、存在し得ないはずのアカウントが実際の通貨を集めて支払いをするとか、どういうことやねん
それに普通の感覚なら覚えのない買い物で送られてきたものとか使いづらいやろ
あと普通にバネロペちゃんターボと同じことしとるやんとかね


ガル・ガドット、ディズニー参戦!が個人的に嬉しくて、クレジット見たときは声出そうになりました
エンドロールに仕掛けられたブラックジョーク、そして最後のオマケは良い意味で本当に悪質
お祭りな見た目とは裏腹にビターな着地を遂げたシリーズ2作目、次はどんな物語を見せてくれるのかな
サイコーでした