マヒロ

シュガー・ラッシュ:オンラインのマヒロのレビュー・感想・評価

3.0
ちょっとした事故から筐体撤去の危機に瀕したシュガーラッシュを救うため、ラルフとヴァネロペはインターネットの世界に向かう…というお話。

アーケードゲームからインターネットに舞台を移して、いわゆる「あるあるネタ」が大幅に増えた印象。前作は実在のゲームネタはかなり控えめで、後半はたまに挟まれる小ネタを除いてほとんどオリジナルストーリーだったんだけど、今作は物語の大筋にネットネタが絡んできて、確かに馴染み深いので分かりやすいし楽しくはあったんだけど、パロディとして安易に感じてしまってあんまり面白くはなかった。ネットミームのパロディとかポップアップ広告イジりとか、別にディズニー映画で見たかったものではなかったかな。

全体的に「女性の自立」みたいなものがテーマになっていて、やりたい事を見つけた女性と、エゴでそれを抑圧しようとする男性…という構図が描かれている。今作は明確なヴィランがいなくて、強いて言うなら、新たな居場所を見つけたヴァネロペに嫉妬に近い感情を抱くラルフが物語の障害になってくるんだけど、前作で綺麗な関係性を結んだ二人だったのに、革新を望む女の子に「ヴァネロペさえいれば良いんだ」とネチネチ執着するオッサンという気持ち悪い絵面になってしまっていて、ちょっと悲しかった。
後半、そのネチネチが具現化して現れるある存在は、おそらくディズニー史上最恐のおぞましい造形で、ここまで来るともう笑えるレベルだった。

最近マーベルやスターウォーズを取り込んで、ノリに乗っているディズニー帝国の力を見せつけるかのような「ディズニーゾーン」のシーンは、同じ画面内にアイアンマンとストームトルーパーにバズ・ライトイヤーがうろちょろするという絵力の強さで、『レディ・プレイヤー1』のような豪華な画面を自社キャラだけでやってしまっていることが凄まじいというか恐ろしいというか。

一番気になるのが、展開の積み重ねみたいなのが感じられないところで、前作はラルフやヴァネロペの得意技がここぞという時に役立ったり、劇中サラッと触れられた程度の要素が実は物語の核心になっていたり、という伏線の回収が気持ちよかったんだけど、今回は、お金が足りない、となったらラルフがYouTuber的なしょうもない動画を投稿し、突然人気が出てお金が貯まりましたという、全く説得力もカタルシスもないしやり方で解決してしまうし、お金を稼いだ以外はずっとヴァネロペの足を引っ張るばかりで殆ど活躍せずで、壊し屋としての能力が全く活かされていないのにモヤモヤ。ヴァネロペも中盤のレースシーン以降は目立って何かするわけでもなく、もっと二人のゲームキャラとしての特色とかを出して欲しかった。

全体的には良く出来てるし、全く退屈はしなかったんだけど、キャラの描き方とかに違和感を覚えてしまってもう一つ乗り切れなかったという感じかなぁ。

(2019.11][1]
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