カツマ

僕のワンダフル・ライフのカツマのレビュー・感想・評価

僕のワンダフル・ライフ(2017年製作の映画)
4.2
泣ける泣けると言われている作品ほど案外泣けないものだが、この作品に関しては溢れ出る涙を止められなかった。犬の命は短くて、ご主人様が幸せになる姿を見たくて見たくて仕方ないのに、彼の命は尽きていく。悲しい別れを繰り返し、いつかきっとまた会えるその日まで。最後、ワンコと飼い主の心が通じ合った瞬間、嗚咽と涙でもうスクリーンが淡い雫のように霞がかっていった。あり得ないことなのかもしれない。けれど奇跡はこんなにも美しく、我々の心に優しい気持ちを灯してくれた。

捨て犬の子犬のベイリーは自分の命を救ってくれた少年イーサンのもとで飼われることになった。イーサンとベイリーは共に成長し、ベイリーにとってイーサンはこの世で最も愛すべき存在になる。だがイーサンは大人になり、昔のようにベイリーといつも一緒ではもういられない。ベイリーは徐々に生気を失っていき、ついには別れの日が目の前に迫っていた。イーサンが幸せになる前の別れ。ベイリーはイーサンとの記憶をその身に宿したまま再び生まれ変わる。

命の灯火が消える瞬間、ベイリーは飼い主達の愛を一身に受けてこの世にさよならをする。何度も何度もさよならをする。その果てに彼はいつか嗅いだ匂いを思い出すのだ。もう二度と会えないはずの人とまた会える。例え違う姿をしていたとしても、彼は自分の命を助けてくれた少年に会いにいくのだ。愛犬の存在は人の人生をも変えていく。その運命の歯車の錆を取り、ピカピカに磨いてくれる。巡り巡った流転の先に幸せはきっと待っているから。
カツマ

カツマ