司馬遼太郎の小説作品を原作にした映画
司馬特有の「筆者の云々」たるうんちく語りは冒頭に少しあっただけで、あとは時折思い出したようにモノローグが流れる程度。
司馬感を出したかったと思われる演出だが、使い所も効果もものすごく中途半端。
主役を岡田准一が務め、敗将である石田三成視点で物語は構成されている。
物語上怒声をあげる場面が多いけど、役作りの一環と思しきあの低い声でそれをやるのが難儀なのは想像に難くないが、岡田の呂律がどうにも怪しい。
対する徳川家康は役所広司。緩急おり混ぜた老獪な家康を鮮やかに演じきった。「エイエイオー」とドスの効いた声で鯨波をあげても、安定した発声でなんとも見事。
岡田准一はアクションも優れていて悪い役者ではないけれど、役所広司を向こうに回してはさすがに分が悪すぎて、役柄同様、格の違いが如実に表されていた。
ストーリー自体はお馴染み天下分け目の合戦なのでまぁ誰でも知ってる。
誰でも知ってるが故なのか、そこにあるはずの三成の想いや、東軍西軍それぞれに味方した武将がなぜそっちに味方したのか、という内情があまり深掘りされていない。
つまらなくはないけど、特別面白味もない。
