ノッチ

ソウル・ステーション パンデミックのノッチのレビュー・感想・評価

2.5
風俗店から逃げ、恋人キウンと同居するヘスンだったが、彼はへスンの体を売ることでしか金を得ることができなかった。

このことが原因でケンカし、家を飛び出したへスンは1人で夜の街をさまよう。

一方、ソウル駅では死んだはずのホームレスが生き返って人を襲い、襲われた者はゾンビと化し犠牲者が激増していた。

『新感染 ファイナル・エクスプレス』の前日譚ともいえる社会派アニメーション映画。 

ソウル駅でホームレス兄弟発信からゾンビに感染半島していく話。

だけど、特に前日譚の要素は感じませんでした。

ゾンビ化の元凶が描かれるわけでもなく、『新感染』の映画冒頭に繋がるわけでもないので。

『新感染』は広く大衆受けするような作り方だと思うが、このアニメは監督のエグい部分が出ているのかなと感じた。

だけど韓国産のアニメーションというだけで珍しいね。

そこにゾンビ映画のジャンルでありながら、韓国社会の格差の問題点を映し出していて興味深く観ることができました。 

しかしアニメでもいいけど、もう少し上手な絵で描いて欲しかったな…。

ヒロインの女性は正直ブサイクに描かれている。

ストーリーは、ホームレスが噛まれた状態から始まり、その弟が何とか治療をしようとして駆け回る。

元風俗嬢とそのヒモの彼氏が喧嘩していて、ヒロインのお父さんが娘が売春をしていることを知ってヒモの彼氏と一緒にヒロインを探そうとする。

そんな中、ゾンビがどんどんと増殖して逃げつつ探しつつ。 

『新感染』が密室空間を生かしたドラマであるのに対して、こちらは駅周辺という空間を生かした作り。 

当然、密室と広い場所の演出には差が出る。 

だけどこの監督『新感染』でもそうだが、強いやつはガタイがでかく、細身は普通の強さ。 

カカトが高い靴を履いた女は、逃げてるときにコケて死にかける。(なので裸足になる) 

でかいやつは綱渡りで下から足を捕まれて死に、小柄女子は下からつかもうとする手が届かないので、向こう岸にたどり着く。 

当たり前のことが当たり前に起こる。 

また、警察の無能さや格差社会に警鐘を鳴らしている雰囲気は随所に感じられ、一旦社会の底辺に落ち込んだ者たちは、ゾンビにでもならなければ浮かび上がれないという嘆きも伝わって来た。

とはいえ、正直そこまでエンタメ映画としての盛り上がりを感じることはなかったです。

個人的には序盤のホームレスの弟さんがお兄さんを救おうとするシークエンスが長くて、その割にはあっさり終わってしまったりして、主人公が誰なのかが掴みにくいのもエンタメ映画として退屈でした。 

また、韓国における社会批判は良いんだけど、ゾンビホラーなのか風刺なのかハッキリせず、どっちつかずで何を見てたのか分からなくなる。

一番の問題は、登場人物たちに今一つ魅力がない。

アホ過ぎて見ててイライラする。

ヒロインは終始泣きわめいててウザい。

終盤戸締りを徹底しないヒロインへの理不尽さ。

他にも、車に乗り込みドアを開けたままでエンジンを掛けようとするところなんぞ、見ていて馬鹿じゃないかとも思うし、その様なストレスシーンも多々ある。

でも、パンツ丸出しのワンピースで逃げ回るヒロインはチョッピリ色気は感じられたかな。

まぁ、不満が非常に目立つ1本ではありましたが、自分的にはそれなりに面白いと思える作品でした。
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