それぞれの日常の分断と漠然とした不安感。
1番印象的で、この映画のハイライトは、フィリピン人がマンションで音楽を大音量で聴きながら、喪に服すシーン。その隣で騒音に苦しむ若者が壁を叩く。そのやりとりに「死」はほとんど関係ない。
街中には、目を背けたり、隠されてるだけで、日常的に死は転がっている。
それを誤魔化すように流行歌は「頑張れ」や「恋してる」と歌う。
日常の事物に対して敏感になってしまった結果、生きづらさを感じる男女がくっつく。
それが生殖本能に基づいたものだとしても、恋の始まりが終わりの始まりだったとしても、もっと話したいという内奥の欲求に抗えない。
都会の煌めくテールライトの一つ一つに人生がある。だが、そんな一つ一つを想像していてはこの身が持つはずもない。