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ドリームのskm818のレビュー・感想・評価

ドリーム(2016年製作の映画)
3.9
1960年代、米国がソ連と有人宇宙飛行の記録を競っていた頃、NASAで計算手として働いていたアフリカ系女性たちの話。
彼女たちを取り巻く状況、要するに差別なんだが、なるほどと考えさせられる。差別というとどうしてもKKKみたいなあからさまなものをまず想像してしまうが、そうじゃねえんだよな。やる気があれば高等教育受けられるし能力があれば就職もできる。でも白人と同じようにではない。それが差別。
白人の上司とか同僚とか、ほとんどのやつは悪意はないのよ(たまに露骨にバカにしたような態度とる奴もいるが)。でも気づかないし、そういうルールだから法律だから前例がないからで済まそうとする。差別されている側からはっきりと指摘されて、初めて「そうだったのか」となってたりする。それが差別のひとつの形。アフリカ系同士でも女性差別があったりとか。女性なのにすごいね式のやつ。
そういうのに嫌な思いをしながらも主人公たちは誇りを持ち頑張ってNASAの宇宙計画を支える。その姿が気持ちいい。
彼女たちの実力を次第に認めていく白人上司たちも悪くはないが、ケヴィン・コスナーの役など、いかにも白人男性客に対するサービスみたいな感じだなあ。私は偏見なんて持ってないわよと堂々と言っちゃうキルスティン・ダンスト演じるミッチェルさんみたいな人の方があるあるかも。
当時の映像も使用されている打ち上げシーンや計算の場面もよかった。おいらは数学はよくわからないが、数学が出てくると盛り上がる。理系の世界が題材となっていると盛り上がるってなんなんだろうな。
間違ったとしてもやり直せるというメッセージもあるように思う。うっかり女性差別発言したジムはその後謝罪し、やり直すことで許されたし、白人上司や同僚や判事も認識を改めていくことで許されてるんだよね、多分ね。そーゆー点では白人に優しい映画だと思う。
それにしてもいち早く、プログラミングを学ばねばコンピュータに淘汰されると気づいたドロシーはすごい人だなあ。
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