カルダモン

ドリームのカルダモンのレビュー・感想・評価

ドリーム(2016年製作の映画)
4.4
観終わった後に達成感を味わえるとても気持ちのいい映画。ただそれは決して両手でガッツポーズするようなものではなく、むしろ為すべきことが為された安堵感なのかもしれない。いや、まだ成されていない、本当の戦いはまだ始まってすらおらず、現代に生きる我々はもう一度襟を正して見直すべき。当たり前でなくてはならないことが、当たり前でない。これをひっくり返すには生半可な覚悟や努力ではなかったはず。劇中では湿っぽさを極力見せない為、かえって彼女らが裏でどんな思いを抱えているか想像が働いた。

煌びやかな音楽や、質素だけどカラフルなファッションは、彼女たちの毅然とした姿勢そのもの。差別的な環境の中での堂々とした態度と、皮肉の効いたユーモアセンスは気品があって美しい。
computerは機械ではなく「計算者=人」を指す語であることも、人がサポートしなければ何一つ出来ないIBMの巨大計算機との対比によって、改めて人の強さを感じられる。いくらテクノロジーが大気圏を超えても、最後は人の手、先を見る目。
「ドリーム」などという言葉ではこの映画は括れない。