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レッド・スパローのohassyのレビュー・感想・評価

レッド・スパロー(2017年製作の映画)
3.5
「人間関係とは信頼関係、負けるが勝ちということもある」


ジェニファーローレンスって、美人ですか?
例えばエマワトソンや、アンハサウェイと比べて。
セクシーでゴージャスですか?
例えばスカーレットヨハンソンや、アンジェリーナジョリーと比べて。
スタイル抜群ですか?
いや、特に巨乳というわけでもなければ、一流バレリーナを演じるには下半身が逞しすぎる(嫌いじゃないです)。

では、この魅力はなんでしょう?

「ハンガーゲーム」や「パッセンジャー」を観ようかなって思う要素の80%くらいは彼女が占めている気がします、僕の場合。
強気な発言が目立っているようですがその辺は詳しくないし、あまり興味もありません。
だから、人となりが好きだということでもない。
やっぱり外見で判断しているということになる。
ただ、個人的な好みということであればそれなりの説明はできるけれど、ハリウッドで最も稼ぐ女優の一人だというから、つまりは世界的な大スターということで、やっぱりみんな彼女に惹かれているということだ。
美人だとかセクシーだとか、そういうこれまでの型にはまらない何かが、傑出しているんだろうなあ。

原作は元CIA職員ということで、ロシアでのスパイ教育の実態としてはそれなりの信憑性があるらしい。
確かにスパイ行為を働くのであれば、身体的な強さというよりは相手に取り入るスキルの方がより重要だろう。
何より信頼を勝ち取り、情を移させることが、任務を成功させる一番のポイントだ。
女性を武器にすることは、目的を最優先に考えれば至極まっとうな行為だと言える。
そのスキルを習得するための、至極淡々とすすむトレーニングシーンが、決して激昂せず、暴力的にもならず、かえって非情さを現していて救いがない。
男を満たす行為を、今はできなくても、出来るようになるまでちゃんとトレーニングしてあげるから大丈夫。
それは決まっていることだから。
そんな雰囲気には、抗いようがない。

ジェニファーローレンス演じるドミニカは、あらゆる人にスパイの素養を認められるが、彼女に強さやしたたかさといったものが身についたようには微塵も思えない。
むしろいつも不安げで、すぐバレて、いつも傷だらけで、いわゆるスパイとしては低能なのではないかと感じてしまう。
これまで映画の世界で活躍してきた優秀なスパイたちと比べると。
でも、その弱さを見せると、相手は途端に油断する。
支配したと思うのだ。
実は、そこまで行って初めて本当のスパイ活動ができるということ。
確かにそうだ。
一度疑って、その誤解が解けた、もしくは降参した相手には、最も油断する。
この流れにはすごく納得感がある。

ドミニカは終始流されて、都度生き延びるため行き当たりばったりで行動しているようにしか見えない。
それは、ドミニカが本当にそうしながら生存本能だけで切り抜けているのか、全てが計算によるものなのかが判断つかない。
その辺りが他のスパイ映画と全く異なるところで、この映画の最大の特徴と言っていい。
そしてその様子が、周りの男たちをどんどん引きつけていく理由ともなっていく。

僕も完全にその一人だ。
常に無表情を装いながらも不安や戸惑いが入り混じった表情や、前髪パッツンの髪型、そしてもちろんオールヌード大一番。
もしターゲットにされてしまったら、あっという間にハニートラップにかかってしまうだろう。
そしてそれでもいいと思ってしまいそうだ。

これはあぶない、肝に銘じておきたい。
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