でしょうかな

否定と肯定のでしょうかなのレビュー・感想・評価

否定と肯定(2016年製作の映画)
3.8
アメリカで歴史学の教授を務めるリップシュタットは、ホロコーストを否定するイギリスの歴史家アーヴィングに名誉毀損で訴えられる。被告に立証責任があるイギリスの法廷で、歴史修正主義者との戦いが始まる。

法廷劇って、映画だと内容に触れる時間が足りなくなってちょっと物足りないなあと思うなど。これは基になるノンフィクションがあるので、そっちを読むべきか。それはそれとしても、判決の下りがちょっと腑に落ちない点が。故意か過失か、まあああいう人だし故意なんだろうけどね…。
ただ、若干の歯切れの悪さを除けば、おおむね楽しかった。最初、リップシュタットの我の強さが弁護士たちと衝突して観ているこっちもウンザリしてきたが、中盤、彼女が心中を打ち明けて彼らを信じる展開が良かった。彼女がこの裁判で得た数少ない有意義なものだと思う。弁護士の個性や明快な弁論、アーヴィングのクソっぷりも楽しめた。
本作は、世界的に右派政権が生まれ、歴史修正主義も蔓延する今の時代にこそ意義がある作品だが、散々指摘されてるように邦題が駄目すぎる。カスみたいな否定論さえも「両論併記」を謳って学説と同程度の正当性があるかのように扱うその風土が、南京事件や慰安婦の否定論を蔓延させたのではないのか。
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