イチロヲ

好色花でんしゃのイチロヲのレビュー・感想・評価

好色花でんしゃ(1981年製作の映画)
4.5
蒸発した夫(南方英二)の借金を肩代わりすることになった夫人(鹿沼えり)が、義父(伊吹太郎)と共に白黒ショーのドサ回りを繰り広げる。藤本義一・著「好色つれづれ」を原作に取っている、日活ロマンポルノ。ピンクリボン賞・受賞記念作。

端的に言うと「中年男の再起動」を描いている作品。自己喪失状態に陥っている退役軍人の義父が、ひょんなことから波長のあう女性(=息子の嫁)と一緒に行動することになり、裏業界で自己実現を果たす。

蒸発した夫(南方英二)、義父(伊吹太郎)、取り立て人(結城哲也)という、当時のチャンバラトリオが総出演している。総じて艶笑コメディのノリであり、危機感や悲壮感は希薄。だが、性的欲動が叙情的に描かれているので、謎の感動に包まれる。

燻っていた人間が、技能を発揮できる場所を与えられたときの高揚感。「おまえのチンポはただの棒じゃ!」は屈指の名台詞。余談だが、主演女優の鹿沼えりは、自殺した夫(古尾谷雅人)の借金を、現実世界で肩代わりすることになってしまう。
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