Norisuke

母が教えてくれたことのNorisukeのレビュー・感想・評価

母が教えてくれたこと(2016年製作の映画)
3.7
ニューヨークに在住しているものの、恋人と別れ、仕事もイマイチなコメディーライターのデヴィッドは、母がガンで余命わずかであることを知り、故郷であるカリフォルニア州のサクラメントへ帰ってくる。実家にはデヴィッドのカミングアウトを認めていない保守的な父親と10年ぶりに会う歳の離れた妹達がいて、気を使いすぎてヒリヒリ落ち着かない。そんな中で、母の容態は日に日に悪くなっていき…な話。

邦題から、母とゲイの息子の難病御涙頂戴ものかな、と思っていたものの、単にそこだけではなく、『Other People』というだけあって登場人物それぞれの「他人」との関わり合い方が描かれているのが良かった。
冒頭に母が亡くなり号泣しているところからの留守番電話シーンを持ってくるところからも感じられる、独特のユーモアセンスが良い。登場人物達の演技も素晴らしいけれど、背景となる住宅街の撮り方やゲイバーで通り過ぎる車椅子のおじさん、便秘薬を求めて入ったスーパーで助けてくれた足を引き摺る店員のお姉さんなど、物語とは直接関係ないところでもハッとさせられるシーンを差し込んでくるのが良かった。
大切な母が亡くなっても世界は続いていくし、外には大勢の他人がいて、色んな思いで関わり合っていかなくてはいけない。そこまで考えさせられる映画を撮った監督に拍手を送りたい。
Norisuke

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