Norisuke

皮膚を売った男のNorisukeのレビュー・感想・評価

皮膚を売った男(2020年製作の映画)
3.8
ラッカに住むサムとアビールのカップルは将来を約束した仲だったが、シリア内戦の影響で、電車の中で発言した言葉によってサムは不当逮捕され、引き裂かれてしまう。サムがレバノンへ脱出している間にアビールは裕福な男との結婚を推し進められ、ブリュッセルへと移住を迫られる。彼女を取り戻す為、サムは偶然知り合った物議を醸し出す現代アーティストに接触し、自らの背中にアートを彫って芸術品として出品される契約を交わす。高級ホテルに泊まり、美術館に展示される毎日を送っていたサムだったが…な話。

太平洋戦争時の日本のような、言葉狩りで引き裂かれる男女、内戦の攻撃で傷つく人々など、ニュースでもなかなかやらないアチラの国の事情が垣間見えるのが暗澹たる気持ちにさせられる。
でも、鏡や画面分割を利用したとてもスタイリッシュな撮り方をしているので残酷さはマイルドに抑えられているのが良かった。アートへの皮肉、自由になること、そしてなかなか成就しない恋愛と、惹きつけられる要素が沢山あって目が離せない。ラストのオチもそう来るか…!と驚かされるのも良かった。
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