まとぅん

ムーンライトのまとぅんのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
4.0
○黒人×LGBTQ×ドラッグ×いじめ×貧困問題×虐待など幅広く扱う。
登場人物も黒人しか出てこず、一つの黒人社会での実態でもある。

恥ずかしながら自分は正直、LGBTQの問題について大学の講義で学ぶまで気にもしてませんでした。もし周りにそういう人がいたら知らずに傷つけてしまっていたかもしれない。それらを知り、身近に感じるようになってから当たり前とは何かを考えるようになりました。
社会に出て同性愛者の方と話す機会があったのですが、やはりカミングアウトをするまでは大変窮屈に生きていたとのこと。自分が何者で、何か他の人とは違う感覚を持ってからはずっと不安だったと。
「特別扱い」ではなく、「普通」に心地良く生きられる世の中になって欲しい🏳️‍🌈

しかし、最後まで観て気づいたのは
一見マイノリティの問題に見えて、どんな人でも起こりうることをテーマにしている?
純粋な愛の形や、人はいつでも悪に染まれること。そして、無理に自分を偽ったり、本当の自分を隠したりする必要は無いんだと。


○主人公シャロンの生い立ちを、
「少年Little」・「思春期Chiron」・「青年Black」の3部で構成される。
ジャケット写真よく見たらその3世代の顔を分割したものになってるんですね😳

【Little】
○シャロンは黒人×同性愛者で、「オカマ」の意味を知らず、何故イジメられるのかすら分からない日々を送っていた。そして、ヤク漬けの母親。

学ぶ環境が整っている日本の学校教育の中でさえ、そういった問題に対して学び、考える機会がほぼ無かった(今の学校現場は分かりませんが)のに、貧しい地区で暮らすシャロンが知る由も無い。

○実の母親は薬・男に染まり、徐々に環境も悪化。家にも学校にも拠り所の無いシャロンに胸が締め付けられました。
自信が無く、言葉も口から出せない精神状態が映像でもよく表現されています。
一方で、廃墟で出会ったフアンと恋人のテレサはまるで両親のように気にかけてくれる。いや、この時はフアンがもう父、母の役を務めていたか。
・「感じるか?世界の中心にいる。」
・「自分の道は自分で決めろ。周りに決めさせるな。」
・「私の家ではうつむくの禁止。愛と誇りに満ちてるの。」

【Chiron】
○唯一の友人ケヴィンと仲を深め、砂浜でのワンシーン〜
「泣きすぎて水滴になったような気持ちになる」打ち明けたシャロンに優しく寄り添うケヴィン。
右手で慰め、帰り際右手で握手、しかし学校で右手で殴られる。
翌日シャロンは感情が爆発し、イジメの主犯に暴行しそのまま少年院へ。

【Black】それから10年後。
○筋肉をつけて生まれ変わったシャロン
見た目は屈強に、アクセサリーや金色の歯。高級車を乗り回す。
そして仕事は売人。やはりココからは逃れられないのかと...
それでもケヴィンとの再会では、お互い探りながら各々の過去と現在を確かめる。

○Who "is" you?
外見は変わっても内面は弱々しいままのシャロンは、海辺近くのケヴィンの家で再び寄り添い合う。
ラスト、海辺で少年のシャロンが振り向くシーンは彼自身の真の姿だと分かる。
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