[奇妙な]
小学生だったある夏のこと。
地域の小学生が皆で集会所に一泊する「お泊まり会」という謎のイベントがあった。
その日は「トトロ」を見て、花火をし、みんなでカレーを作って眠りにつくという、なんとも迷惑なイベントだった。
(今となっては涙が出るほど懐かしいが)
横に布団を敷いた太っちょの子は、何やら怖そうな漫画を読んでいて、眠れない私にも勧めてきた。
「ジョジョの奇妙な冒険」
奇妙な冒険?
何も知らなかった私は、まさかその後「個人的悪役ランキング殿堂入り」にしているほどに強烈なキャラクターが登場し、その後は単行本を買い漁り、ジャンプもリアルタイムにその漫画だけは必ず見るほどに「どハマり」するものだと思ってもいなかった。
ディオ・ブランドー
それまでスター・ウォーズのダースベイダーが自分の中で悪のアイコンだった所に、とんでもない男が現れた。
情など一切なく、自分の欲望を力強く進むエネルギー。そしてどこか知的というか、人を虜にしてしまう悪魔のような人心掌握術。
屋敷の二階へ上がる時には階段を使わず、壁に足をめり込ませて垂直に進む様には驚愕してしまった。
真っ直ぐで破壊的な「純粋なる悪」に魅入った瞬間だった。
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と、昔話はここまでにしときます。
今回は第4部の実写化でしたね。
私は第3部の次にこの4部が好きなんです。
と、いうのも私の地元は仙台であり、原作者である荒木先生が「杜王町」のモデルにしたのも仙台だから、というのもひとつあります。
しかし好きな理由はやはり「ひとつの街における隠れた闇」にあります。
この第四部に登場する悪役は世界を脅かすような事をしたいのではなく、自分の欲求と戦いながらも「ただ静かに暮らしたい」という変質的でありながらもリアルなサイコパスが描かれていたのも魅力的でした。
とはいえ、今作は「第1章」と言われており、今書いたようなスリリングなパートが始まる前段階です。主人公が観客の目線である広瀬康一と出会い「スタンド」という超常現象の戦いの幕開けを描くところで終わります。
撮影を海外で行なったり、雰囲気の似ているキャスティングなど「頑張ってるなあ」と思いながら鑑賞していました。
ですが、序盤までは良かったのですが、後半はいくらなんでもテンポが遅すぎて一度眠ってしまいました。
実はオープニングからとても奇妙でした。「犯罪者がスタンド使いに目覚める」から、なぜか取り調べ室に捕まってるシーン、そのあとすぐにスタンドの力を使って外へ、という部分。
正直「なぜ彼はスタンドが目覚めてるのに一回捕まったんだろ?その場でスタンド出せばいいのでは?捕まる意図ってなにかあった?」っていうノイズが、、、
こういった具合に全体的に「何かが起きる前フリ」「その現象」「リアクション」という流れのテンポがとにかく悪く見えました。
漫画ならではの会話シーンなどの影響もありますが、もう少しなんとかできたのではないかと。
あとは原作好きの戯言になりそうですので特になにも言う事はありません。
「第1章」と言ってますので、もちろん「2章」「3章」とあるのでしょう。
しかし、なぜでしょうか?
その噂が全く聞こえてこない、
“奇妙”な作品でした。