Kevin

女神の見えざる手のKevinのレビュー・感想・評価

女神の見えざる手(2016年製作の映画)
4.9
大手ロビー会社に所属し、数々の功績を残してきたエリザベス・スローン(ジェシカ・チャステイン)。
しかしそんな彼女は銃の所持を支持する仕事を断り、銃規制派を支持する小さな会社へと移籍する。
これまで同様、持ち前の天才的な戦略で順調にロビー活動を進めていくスローンだが、次第に彼女の赤裸々なプライベートが露呈し始め...。

〝ロビイストが賢さにスキル全振りした結果が此処に〟

これはかなり面白い!半端なく面白い!
どんくらい面白いかというとめちゃくちゃ面白い!
米国公開から約1年遅れでの日本公開だけど上映してくれただけでも感謝🙏

本作は政治界の秘密裏で目まぐるしく行われているロビー活動を描いた作品。

本作の魅力はなんと言っても主演のジェシカ・チャステイン。
彼女の熱演、と言うより怪演と呼ぶに相応しい何たる演技力。ド肝抜かされた。
今までで1番のハマり役。
オスカー像あげてもいいんじゃないですか?と本気で思う。

彼女演じるエリザベス・スローンはわかり易く言うと“THE 仕事人”。
それもとびきり抜きん出た。
仕事の為なら何を犠牲にしても構わない。

睡眠,食事(毎回同じ店),家族,恋愛,信頼,友情...等、人生そのものを仕事で“勝つため”に捨ててきた。
どうしても勝ちたい。勝つためなら犯罪紛いのこともするし、敵を欺くだけではなく、味方をも躊躇い無しに欺く。

この飽くなき勝利への渇望が見てて恐ろしいほど痛快。
彼女に任せればほぼ100%勝てるという安心感。
だから彼女が人としてどうなのかは二の次で、皆彼女のその先を見てみたくなってしまう。
しかし何をしでかすか読めない不安感。...堪んない。

この作品、もはや大作アクション映画。
頭脳によるハチャメチャアクションの連続。
映像だけで見れば派手さはないが、体に流れ込む興奮、スリル、楽しさはそこらのアクション映画を易々と凌駕する。

劇中は台詞などの情報量が多く一瞬怯みそうになったものの、本作の引力には逆らえなかった。
ほんと130分引き付けられっぱなし。
その如何なるシーンも無駄な部分が全くなく、1から10まで全部面白い。

内容が政治関係なだけに取っ付きにくさはあるかもしれないが、必ずや最高の体験を齎してくれるはず。
自分も政治に関しては赤子と大差ないくらい無知だけど、こんなにも楽しめたのだから。

恐るべしミス・スローン。
何かを極めることは、それと同時に他のものを犠牲にしなくてはならないのかもしれない。
彼女は周りを欺く中で、自分自身の心をも欺いていたのだろう。

最後の最後まで彼女に欺かれ続ける、極上のサスペンスです。
Kevin

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