鷲尾翼

太陽の塔の鷲尾翼のレビュー・感想・評価

太陽の塔(2018年製作の映画)
4.0
【まとめシネマ】#651

【まとめ】
* 孤高の哲学芸術家、岡本太郎
* 十人十色の解釈と考察
* 永久芸術であり、脅威であり、謎

本作は、1970年に大阪万博で代表的な作品「太陽の塔」を制作した岡本太郎の歴史や思想、そして「太陽の塔」に秘められたメッセージを追うドキュメンタリー作品。

本作の主役、岡本太郎の凄味を改めて知る。

1930-40年の間、パリで過ごし、ピカソなどのフランス芸術に触れる。やがて、その芸術性は爆発し、偉大な芸術家となった。彼は、自身の思考や思想に絶対的な自信を持つ哲学者の一面を持つ。その精巧な思考は、太陽の塔の内部にある「生命の樹」を見れば、納得してしまう。

本作には、糸井重里やダンサーの菅原小春、学者やアーティストなど、約30人がインタビューに答え、岡本太郎の偉大な魅力を語る。

しかし、不思議なことに、彼について同じ解釈をしている人はいない。それぞれが、全く違う解釈を抱き、彼を尊重する十人十色の意見を作品で語る。なので、中には受け入れ難い意見もあるが、この作品は、賛同するものだけを受け入れればいい、と思う。

僕にとって「太陽の塔」は、日本の永久芸術だ。

大阪万博から40年以上経った今でも、大阪の地に君臨する芸術は、もはや脅威だ。しかし、その芸術を完璧に理解する者は、岡本太郎しかいない。彼が残した芸術は、日本人が追求し続ける謎として、今日も我々を睨み続ける。
鷲尾翼

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