Rena

残像のRenaのレビュー・感想・評価

残像(2016年製作の映画)
3.6
第二次大戦後のポーランド。
ソビエト連邦占領下の圧政に抵抗し続けた実在の画家 "ストゥシェミンスキ" の生き様を描いた作品です。
アンジェイ・ワイダ監督の遺作ということで前々から気になっており、また、監督のインタビューも観られるということで、そちらも合わせて鑑賞しました。

インタビューから伝わってくる穏和でなごやかな雰囲気。ご夫妻のかけあいが、なんとも微笑ましい。
とても親しみを感じる人柄でしたが、そのような印象とはかけ離れた物凄い作品でした。

重々しい雰囲気の中、監督の様々な思いが徐々に強度を増しながら迫ってくる。

怒り・威圧感・力強いメッセージ

とにかく、威力が凄まじかった。
これからどう展開していくのかぐいぐい引き込まれ、圧迫を感じながらもしっかり目を見開いて、固唾をのんで見守っていました。

逆らう者は排除し、徹底的に潰される。
体制の恐ろしさ...
簡単に順応する者もいれば、信念からできない者もいる。いつの時代も理不尽な事が多いこの世の中。
行く末はわかっているけれど、それでも屈せず懸命に生きることを選択する。報われないかもしれないけれど、自分の道を突き進む信念の持ち主もいるんだ!! と、監督から渾身の怒りのメッセージを突きつけられたような気がしました。

芸術家 "ストゥシェミンスキ" を演じたボグスワフ・リンダの抑えた演技が素晴らしかった。
そして、赤・白・青...ところどころで効果的に演出される色彩が印象的でしたが、一番忘れられないシーンは、これが現実だ!! と言わんばかりのラスト。息をのむほどの恐ろしさの中に、圧倒的な芸術的美しさを感じました。

正義とは?
妥協とは?
闘志とは?

考えさせられました。
Rena

Rena