PikKa

ポップスターのPikKaのレビュー・感想・評価

ポップスター(2018年製作の映画)
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学校で発生した銃乱射事件の被害者であるセレステ。
その心のうちや犠牲になったクラスメイトたちへの想いを綴った歌が大ヒットし、全米注目の的となったことで少しずつ狂い始めてゆく。

まだ世の中をあまり知らない子どもに対する周りのおとなたちのビジネス目線。
歌手として華やかな世界で頂点にのぼりつめるものの、世間やマスコミからの容赦ないバッシングや粗探しなどで心が壊れていく繊細さと、その反動からの炎上商法のように荒く憎まれ役のようになっていく言動。

異常に勝気になったり暴言を吐いたりする彼女を何がそこまで追い込んでいってしまったのか、その生々しい闇の部分まで描かれている。

これはこの映画の中だけの話に限らず、
とくにネットが普及した現代社会においてさらに加熱する有名人たちに対する一般人の心ないバッシングやマスコミならぬマス”ゴミ”のストーカーのような容赦ない付き纏いや報道などにも言えること。

セレステが成長してナタリーに替わってからのステージ上の描写、とくに全身タイツのような衣装と歌部分以上に延々と続くダンスは個人的に今ひとつで長く感じてしまう。
ナタリーの演技は物凄い熱量と貫禄なんだけど、子ども時代のセレステほど感情移入できない感じもあって。

スキャンダラスなストーリー展開以上に、ナタリー・ポートマンにセレステが憑依したかのような身を削るような全身全霊の熱演に釘付けになる。
同じショウビズ界で子どもの頃から活躍していて長いあいだ世界中から注目され続けていながら、彼女も同じようにひとりの人間であり母でもあるからこそ、このセレステに対する想いがより強く込められているように感じる。
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