カルダモン

オリエント急行殺人事件のカルダモンのレビュー・感想・評価

オリエント急行殺人事件(2017年製作の映画)
3.0
もともと物語の骨格自体がきっちりしてるので、リメイクとはいえ大きな脱線もなく。これはつまり優れた素材を使いながら不味い料理になるわけないといったようなことで、『オリエント急行殺人事件』という軸さえブレなければ無事に終点まで運んでくれる。

問題はアップデートの部分。これだけの顔触れを揃えながら、どの人物も薄く見えるのは何故なのか。これはどう見ても、監督主演のケネス・ブラナーによる「俺を見ろ!」と言わんばかりのオンステージが原因で『ジュマンジ ウェルカムトゥジャングル』のドゥウェイン・ジョンソンばりにキメ顔を見せつける度、お腹いっぱいになっていた。
その点74年版はバランス良く、どの人物の描き方も丁寧だった。ポワロのキャラもかなりケネス・ブラナー色なので、おそらくそれも大いに関係してるんだろう。

列車や衣装の豪華さはこだわっていただけに流石。謎解きパートで最後の晩餐スタイルになったのには笑ったが、冷静に考えてせっかく列車を作ったんだからそこはいじらず車中で謎解きすべきだろ、と思う。密室感が生きない。

ともあれプラスマイナスゼロ的な感じが拭えない。あまり好きな言葉ではないが「普通に面白い」映画。アガサ・クリスティが生きてたら憤慨していただろうけど。