カツマ

オリエント急行殺人事件のカツマのレビュー・感想・評価

オリエント急行殺人事件(2017年製作の映画)
3.8
自分がこの世で最も好きな作家アガサ・クリスティーの大量の名作群の中でも、圧倒的な異彩を放つ『オリエント急行殺人事件』!高校時代に40冊以上は読んだクリスティー作品の中でも、この作品の結末を忘れることは絶対に不可能だ。
結末が分かっているのに楽しめるのだろうか?と思ったけれど、豪華俳優陣を贅沢に使い、突き抜けたエンタメ作品に生まれ変わっていて、セリフまわしの早さにはまるで舞台を見ているかのような没入感を味わうことができた。

少しだけ惜しかったのは展開が早急過ぎて謎解きを楽しむ時間が無いところと(原作を豪快に短縮している)、ケネス・ブラナー演じるポワロがイマイチハマっていなかった点だろうか。小説のポワロに比べてあまりにダンディー過ぎた(笑)

〜あらすじ〜

エルキュール・ポワロはその灰色の脳細胞を使ってどんな難事件でも解決してしまう高名な名探偵だ。今回もシリアで窃盗事件を見事解決に導き、そのまま休暇に入った。イギリスへ帰るため、ポワロはイスタンブール発のオリエント急行に乗り込むも、そこで新たな事件に巻き込まれる。宝石商のラチェットが複数箇所をナイフで刺され死亡しているところを発見されたのだ。ポワロは真冬にもかかわらず満席となっていた車両内の乗客達を尋問していくのだが、どうにも乗客達の証言は噛み合わず・・。

実はストーリーそのものよりも、豪華俳優陣が次から次へと登場してくる展開にやたらとミーハー心をくすぐられる作品でもあった。こんなにセリフの少ないジュディ・デンチやウィレム・デフォーも珍しく、ケネス・ブラナーの人脈が大いに炸裂したのかもしれない(笑)

続いては続編として『ナイルに死す』が待機しているとのこと!エジプトを舞台にしたトラベルミステリのため、『オリエント急行殺人事件』以上にエンタメ度の高い作品となりそう!ガル・ガドットの出演も決まり、豪華絢爛なミステリワールドをもっと派手に振りまいてもらいたいところだ。


〜おまけ〜

クリスティー作品の中でもポワロシリーズは大好きでほぼ全作品読んでいます。このオリエント急行殺人事件は列車版クローズドサークルの元祖と呼べる作品で、奇抜で斬新なラストはクリスティー以降模倣するのが恥ずかしいレベルのブランドになっています。
他のポワロ作品ですと
『アクロイド殺し』
『邪悪の家』
『ABC殺人事件』
などの映画化にも期待!次はもう少し謎解きを丁寧に描いてくれることを願います!
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