和桜

サーミの血の和桜のレビュー・感想・評価

サーミの血(2016年製作の映画)
3.4
1930年代、スウェーデンで行われたサーミ人への同化政策。葬り去ることは出来ないこの過去を、その時代を生きた老女の過去を振り返る構成で描き出す。
監督自身がサーミの血を引いていると言うこともあって、自分のルーツをテーマにした映画でもある。

「あなたたちの脳は文明には適応できない」
時代が時代だけに優生思想が前面に出た発言ばかり。なんの悪気も疑いも持たず、むしろ善意で教えてやっているんだという表情には寒気がする。
優生政策は福祉政策の一部として導入されたものでもあり、こういう話を知ってしまうと改めて北欧が福祉国家と呼ばれるまでに至った道のりは複雑だったんだなと思い知らされる。

この作品では個別の歴史などはあまり詳しくは語られない。
一人の少女の目線から当時の様子が映し出されることで、日本を含め同化政策を進めてきた世界へ訴える作品となっている。
ただ、欲を言えばもう少しサーミ人やその周辺の個別的な歴史背景も描いて欲しかった。それは見た人間に調べさせるのが意図だとは思うんだけど、、風景や民族衣装が美しかっただけに映像として見たかった。
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