倉持裕さん初の新感線脚本。
倉持さんは古田さんがカッコいい作品を書きたがるねー。
とにかく"古田新太"を魅せる話。
ケレン味と音楽がウリの一つの新感線にしちゃあ渋いと、評判はまちまちだったけれど、
私はこの渋さも好きでっせ。
劇団員がわちゃわちゃしているシーンが結構多くて、
話のメインは古田さんな分、それぞれがキャラをコメディに演じているから笑いのシーンも多くて面白かった〜。
劇団員総出演では?と思うくらいいたし、みんなアルバイトしまくってるし、見つけるのが楽しいのなんの!
じゅんさんの悪役が、ゲキシネのカッコいい映像演出と重なって最高だったことは特筆しておきたい。
話自体は至ってシンプルな気がしていて、
昔泥棒だった男が、カタギになってから命の恩人に恩を返そうとする話。
話はドタバタするけど、この道筋は真っ直ぐで、ホンだけなら倉持さん2本目の新感線『けむりの軍団』のが面白かったかもね。
ラストシーンの演出は死ぬほどかっこよかったです。
いのうえさん、ありがとう。
けむりとこの作品の違いは
鶯では全てを古田新太に負わせたことだよね。
古田新太の作る笑いや感情の乱れ、物語を動かすための駒が他のキャラクターという感じがした。
全部、古田新太を魅せるための道具。
けむりでは、客演から劇団員まで、個々のキャラを知った上で色んな役を割り振ったでしょ。
古田新太ひとりの板の上ではなく、
個々のキャラクターの心情までちゃんと作ってある。
他のキャラクターが生かせているから、みんなそれぞれの思惑が渦巻く面白さがあるの。
だからけむりのが良いってことじゃなくて、
けむりは個々のキャラクターとしての重みが良かったし、
鶯は1人が中心を背負ってる分、他のキャラクターが笑いに寄っていて良かったってことです。