未島夏

サラエヴォの銃声の未島夏のレビュー・感想・評価

サラエヴォの銃声(2016年製作の映画)
3.2
一つのシークエンスを極力ワンカットで行う長回しへの注力と、それに沿ってスムーズに提示される各人物の背景とフラストレーションが徐々に物語の熱量を上げていく。

しかしその熱は急激に冷まされ、積み上げられた人物の心理は半ば放り出されてしまう。
そこに映画の暗喩や真意があるにしても、それを観客が素直に受け取るだけの抑揚とクライマックスが用意されるべきではないか。
歴史に目を向けてもらいたいのなら尚更の事。
「銃声」の起因があんな些細なフラストレーションからの矛先である事すら、意味があるというのだろうか。

導入の素晴らしい没入感が物語への期待を煽る故、思わせぶりとなってしまった。
未島夏

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