オルキリア元ちきーた

ザ・クライアント 依頼人のオルキリア元ちきーたのレビュー・感想・評価

ザ・クライアント 依頼人(1994年製作の映画)
3.0
25歳で急逝してしまったブラット・レンフロ君のデビュー作品。

いや、これ、トミーリージョーンズも完全に脇役だし
スーザンサランドンもキッチリ振り回されてるポジションに徹してるんだけど
彼を完全に「売り込む」ための作品に思う。
主役を食ってる、というより、敢えて食わせる様な演出を感じる。
果たして、半グレなこの少年が、偶々知った重大な犯罪の顛末を、ここまでクソ真面目に弁護士まで雇おうとまで考え手家族を救おうと思うかどうか?

しくじり人生の女弁護士とヤサグレ少年の友情もちょっと演出過多に思える。ママはその上をいく田舎のヤンキー状態だけどw

肝心のブツを見つけるあたりまでは上手く話が進むけど、その後に更生保護プログラムあたりからの尻すぼみ感が何を言わんとしているのか?を考えた時に
この少年を救いたい、という話に戻っているのはいいとして
こんなヤサグレ少年、また新天地で気に入らない事があれば周りを簡単に巻き込んで騒ぎを起こしそうなタイプだよな!
としか思えない。

女弁護士も仕事のポジションを軽々と飛び越えた所まで介入してるし、検察官ジョーンズもポジションとしては刑事レベルに思う。

マフィアもフットワークも人選も甘く素人のガキに翻弄されるのも全然リアリティが無く、最初の緊迫感は本当に脅しで終わってる流れ自体からして、やっぱり本作はサスペンスの形をしたブラットレンフロの宣伝映像なんだと思う。

しかし、この後の彼は「マイフレンドフォーエバー」を大ヒットさせたものの、その後「ゴールデンボーイ」とかやってみたけど「泣かず飛ばず」の長い期間に本当にヤサグレてしまったブラットくん。

リバーフェニックスの再来みたいなポジションを目指していたのは明白で
ちょっとヤンチャな美少年のキャラで売り込んだはいいものの
彼自身が役者として自我に目覚めた時には、それ以外の役になかなか恵まれなかった。

絵に描いたような転落までも
リバーフェニックスと同じだった。


昔のハリウッドは演者のやりたいことと、観客の求めるもの(=売れるもの)のプライオリティがかなり商業主義寄りだったのも良くなかったんだろうな。

日本人女性との間に大和という名前の息子がいるらしいけれど、本作の頃のブラットと同年代になっている筈の彼は、果たして今どこで何をしているのだろうか?