mura

光のmuraのレビュー・感想・評価

(2016年製作の映画)
4.3
閉所恐怖症になったのかと思う。この閉鎖的な社会と人間関係に息が詰まりそうになる。


海上にポツリと浮かぶ島、林のなかに広く根をはった大木、散って形を崩した赤い椿、鬱蒼として人の近づかない神社…不穏な気持ちが掻き立てられる。よくぞここまで集めたなと。

また、音楽がその気持ちを増幅させる。

月の影がつくったとされる美浜島。そこに暮らすノブユキは、同級生ミカの求めに応じて男を殺す。それはノブユキを慕うタスクの知るところとなる。月が海を美しく照らすある夜、美浜島を津波が襲う。3人は島を離れてバラバラになるが、25年後、タスクがノブユキの前にあらわれる…

「なぜ生きている」「死ぬことを待っている」…人間が生きていくことには常に哀しさが付きまとうということをあらためて思い知らされる。

その点では「光」を感じさせないが、ここでいう「光」は「日の光」ではなくて「月の光」だということか。河瀬直美の『光』とはまったく違う「光」だったんだ。

ノブユキの妻を演じた橋本マナミがどハマりだった。すごいエロさを感じた。そして罪深さも。

一方で、本来感じるべきであろうミカのエロさが伝わらなかった。僕だけが思うのかもしれないが、ミカの造形がはっきりしないような。そこがちょっと残念に思えた。
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