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カーズ/クロスロードののらのレビュー・感想・評価

カーズ/クロスロード(2017年製作の映画)
3.5
カーズシリーズの三作目で、このシリーズはどちらかと言うとポップな作風だが、本作に関してはポスターや予告編の段階で、非常にシリアスなイメージを多用し、今までのカーズシリーズとは異なる展開を示唆する異例の作品になっている。またグラフィック的にもフォトリアリスティック傾向が強めになっていて絵柄はいつもと同じなのだけど全体期にシリアスな雰囲気が滲み出している。

話としては新世代の台頭に太刀打ちできないマックイーンが再起をかけるという内容で、正直途中までは生まれながらの天才たるマックイーンなら、どんな困難も乗り越えられるといういつものパターンなのかな?と思っていたのだけど、本作がいよいよクライマックスという段階に入って急に話の経路が変わってくる。

というのも最終盤になってマックイーンと一緒に旅をしたクルーズの話に変わるからだ。それでココが本作の最大の魅力といえる部分になるが、このクルーズというキャラクターは、自分は女だからレーサーには向いていないと、自分で自分の限界を決めつけてしまっているキャラクターで、他方のマックイーンは圧倒的な才能を持ちながらも自分の限界を悟ってしまった主人公と一見関係無いキャラクター同士なんだけど、それが最後の最後で交わる。

特にマックイーンは前2作ではメンターに手取り足取り導かれるキャラクターで、そこがこのシリーズの乗りづらい部分でもあったのだけど、本作では最後の最後でマックイーンがメンターの側に回るという展開になり、非常に良いカタルシスになっている。

マックイーンという伝説の終わりと、その継承の物語として非常に良く出来ているし、自分の老いから目を逸らす事が出来ない時に、どうたち振る舞うべきなのかを描いており普遍的な内容の映画になっている。
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