しろくま

ユリゴコロのしろくまのレビュー・感想・評価

ユリゴコロ(2017年製作の映画)
3.4
2022.01.24/018/Abematv
自宅の押し入れで見つけた〝ユリゴコロ〟と書かれた一冊の大学ノート。生き物を殺して遊ぶのが好きな少女が、友達が溺れているのを見て喜ぶ話が綴られていて…。

ホラー小説のような、ゾワツとする展開。友達の溺死のきっかけは、少女の悪戯。この時、人を殺そうとする〝悪意〟はなかったものの、一度味わった〝死〟への快感が、少女の心の拠り所(ユリゴコロ)に。そして、その後も人を殺していく過程が克明に描かれている。これは創作なのか、手記なのか…。続きが気になるのは亮介(松坂桃李)と一緒。怖いもの見たさで、くぎ付けになった。

〝おかえりモネ〟のヒロインで爽やかな印象の清原果耶が少女の学生時代を、ハイボールのCMの明るいキャラの吉高由里子がその後の殺人を繰り返す役を演じていたのには、びっくり。見事に狂気と葛藤を演じている。

中盤から運命の再会、そして恋愛ドラマ、家族のドラマになっていくが、だんだんと違和感が…。ダムでのあの場面に〝あれっ〟となるが原作では違う描かれ方が。そして、現代パートも。誰が観ても不自然なヤクザの大量殺戮も原作にはない。亮介の彼女と、あの人が昔同僚だったっていう都合のいい設定も原作にはない。こんな改変をしなければ、もっと楽しめたのにという作品だった。
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